2017年06月 

『世界から尊敬される日本に』
 韓国大統領に文在寅氏が当選しました。文氏は選挙中から「慰安婦問題は再協議する」と発言してきました。国連の人権条約の委員会も、この問題での日韓合意は「被害者への補償や再発防止策が不十分」と指摘。合意の見直しを勧告しました。安倍総理は戦後70年の談話で「子供や孫に謝罪を続けさせる宿命を負わせたくない」と述べ、心からの謝罪をしませんでした。一方、アウシュビッツ強制収容所解放70周年に、ドイツのメルケル首相は、「人類の犯罪に時効はない。当時の残虐な行為を世界に伝え、記憶を薄れさせない責任がある」と挨拶しています。この二人の言葉はあまりにも対照的です。
 天皇陛下は全国戦没慰霊者追悼大会で「ここに過去を顧み先の大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願います」と述べられました。歴史とは、私たちの祖先がどんな国家観や世界観を持って生きていたのか、何を目指し何に殉じようとしたか、その物語です。歴史は現代を生きる者の鏡であり、鏡を見つめると自分の心の歪みを確かめることが出来るのです。「金を払って決着したのだ」という態度では、いつまでも尊敬される国家にはなれないと思います。
『空海という智の巨人』
 空海が中国の長安を訪れたのは、約1,200年前です。当時、空海は31歳でした。同じ遣唐使の一行には天台宗の開祖最澄もいました。当時の中国は世界の先進国でした。日本の人口が約500万人に対し、長安だけでも100万人が暮らしていました。長安に着いた空海は、すでに完璧な中国語を話し、恵果に師事するや僅か数か月で「真言密教」の最高位を授けられたというエピソードがあるように、空海の並外れた国際感覚、知的能力の高さが伺えます。また「エンジニア」として空海は知られています。真言密教の経典の他に土木学・薬学・治金・情報に関する資料なども持ち帰りました。空海は、これらの技術を庶民に教えるために日本最初の私学「綜芸種智院」を設立し庶民に一芸を学ばせました。このように日本人の体内には空海を通じて、アジア・ユーラシア大陸など数千年の歴史的な知識が受け継がれているのです。
『舞台に立ってきます』
 ディズニーランドの従業員は、休憩所からお客様のいる場所へ出かける時に、必ず「オンステージしてきます」といって出ていきます。「これから舞台に立ちます」という意味です。これによって、休憩室に居るときとお客様の前に出るときとでは確実に意識が変わるそうです。現場の清掃をする人、案内をする人など職種は様々ですが、どんな仕事であろうと関係ありません。この一言で働く人は「私はいやいや仕事をしているのではない。これから主役としてステージに立つ」という意識が生まれるといっています。
 創業者であるウォルト・ディズニーは心理学者ではないかと思うほど、働く者の心を高めるための様々な工夫をしています。ディズニーランドに行かれた方は、従業員の行き届いた対応に感心されたと思います。皆さんの職場でも、働く人が気持ちよく働けるよう工夫をされてはいかがでしょうか。

『もう一つの日本は可能だ』

 もう一つの日本は可能だ」
 内藤克人氏が書かれた表題の本が注目されています。この本には「私たちが努力を積み重ねて行けば、社会は良くなる、明るく安心できる時代が来る」そう信じて努力してきました。しかし、21世紀になった途端これは違うぞと思い知らされた。例えば、経済は市場に任せておけば良くなると説く「市場原理主義」が猛威を振るい、すべてが金儲けの手段に変えられてしまった。彼らの考えは、「弱い者は脱落し、強い者が生き残る。会社でも銀行でも信用は株価で決まる」というものです。この考えは、極端な対立と格差を生み、社会を弱肉強食の修羅場に変えてしまいます。アメリカのトランプ大統領の誕生やヨーロッパの「テロと難民問題」もその結果です。
 経済の主人公は人間です。人間の生存にとってかけがえのない、環境・食料・水・エネルギーなどを金儲けの対象にしてはならない。人間は搾取の対象であってはならないのです。そのことが詳しく論じられています。朝日新聞から出版されているスーザン・ジョージ氏の「なぜ世界の半分が飢えるのか」という本を併せて読まれると、現代世界の矛盾がよくわかります。