2018年06月 

『猿は猿・魚は魚・人は人』
 松下幸之助さんから「PHP総合研究所」を任され、幸之助さんの身近で薫陶を受けられた江口克彦氏が表題の本を書き、松下幸之助さんの黄金のメッセージを伝えています。松下幸之助さんの経営は、常に「人間大事」であり、「数字大事」で進められたことは一度も無かった。社員に誇りと、励ましと、感謝と、感動を与えたおかげで、会社を成長させ、とてつもなく大きな成果を上げた。その人間大事経営の要諦はこれからの日本の経営に受け継がなくてはならない宝物です。松下さんは、「冷静に判断して、後でそっと情を添えるんや。単純に考えれば、経営は単純になる。心配せんでいい、それよりも君、志をなくしたらあかんで。経営学は教えられるが、経営は教えられない。風の音を聞いても、悟る人がおる。『拡大』より『着実』を選択せよ。私は製品を作る前に人を造る。」普通の人が数年単位で物を考えている時、松下さんは、10年単位、場合によっては100年単位で考えていた。亡くなる瞬間まで、時代の遙か先を走っていました。
 今、時代の転換期だからこそ社員を大事に、人間を大事にした幸之助さんの経営哲学が企業経営に必要だと思います。
『空き家が蝕む日本』
 長年、不動産業界で働き、その後、不動産コンサルタントとして働いている長嶋修氏が表題の本を出しています。「将来、日本の空き家率は40%になると予想されている。現在、年間90万戸から100万戸程度で推移している新築住宅着工のペースを、仮に60万戸に減らしたとしても、今年、小学校に入学した子供が30歳を迎えた頃には40%近い空き家が生まれる。新築住宅を作れば作るほど空き家は増大し続けます。
 我が国の人口はピークを過ぎ、これからは長期的な減少に向かう。同時に高齢化も進み、経済は成長から成熟へ、それに合わせて社会の構造を転換しなくてはならない。政府はこうした現実より、当面の景気対策に重点を置いており、価値の無くなった住宅のローンに苦しむ人を増やしかねない。既に愛媛県でも多くの空き家があり、対策が急がれます。
『昭和からの遺言』 倉本聡
 「欲しがりません、と心で唱えていた。あの頃の自分が懐かしい。僕らは貧しく豊かではなかったが、何となく今より幸せだった気がする。笑いが深かった。涙が深かった。怒りが深かった。情が深かった。人と人とのつながりが深かった。深さを消した犯人の一つは、便利さがある。年の瀬、遅くまで炬燵にかがんで一枚ずつ書いていた、あの年賀状を、印刷機とコピー機がやってくれる。毎年届いていた、あいつの読みにくい悪筆の賀状から深さが消えた」 これは、「北の国から」の映画監督、倉本聡さんの「昭和からの遺言」の一説です。平成も今年で終わり、新しい年号が始まります。私たちは、平成という時代をどう生きたのでしょうか。新しく迎える時代を、幸せな時代として子供たちに残したいものです。

『本は育る力を育む』 社員 秦智恵美
 「人々に愛されてきた書店が廃業する。そんなニュースに触れる機会が増えた。本屋ゼロの市町村が2割を占め、東日本大震災で被災した本屋は700以上、『本の力、言葉の力を借りて、私たち自身が元気でいれば、誰かの涙を乾かすことが出来る。』東北沿岸部の書店員らの声を記録した『復興の書店』は、本への熱い思いを伝えてくれる。先週、福島県南相馬市に小さな書店が開業した。店主の柳美里さんは、本を通じて、人と人がつながる場所になればと店を開いた。原発事故で住民の帰還は道半ばだが、本屋のある日常は、再起の一助となるはずだ。」
 これは4月16日の日経新聞のコラムです。原発事故から7年、マスコミからは取り上げられる事も少なくなった福島で、柳さんが住民の気持ちに寄り添った活動を続けていることを知り胸が熱くなりました。震災直後は、誰もが被災者を思い、日本全体で節電にも努めていました。時がたつにつれ、その思いを忘れつつあります。今、私たちに出来ることは、あの震災を風化させないことです。一人ひとりの力は僅かでも、集まれば力になります。そして、本の偉大な力を再認識しました。本は、生きる力を育み、心の糧となってくれます。私は2人の孫にも、本をいっぱい読んで育ってほしいと願っています。