2020年01月 

『令和最初の新年に思う』
これまで人類は二度の変化を体験しました。一度目は農業革命です。人々は小さな集団で食べ物を探して移動していましたが、約一万年前に耕作地を作り、新しい生活を始めました。第二の波は、ヨーロッパに起こった産業革命です。産業革命は、世界人口の約半分を豊かにしただけで、後の人々は貧困にあえいでいます。世界銀行の調査によれば、7億人が栄養失調、5億5,000万人は文盲、そして12億人もの人々が安全な飲み水もない現実だと指摘しています。今日、歴史はさらに進み第三の波が押し寄せています。この波が完成するのは数十年後だと云われます。これから数十年、世界は激動があり、古い文明を守ろうとする人々と、新しい文明を求める者の激しい争いが予想されます。1861年に起きたアメリカの南北戦争も、奴隷制度に依拠した農業と、工場経営者が激しく対立した闘いでした。日本の明治維新も農業的過去と産業文明に進もうとする葛藤がありました。しかし人類は完全に自らを亡ぼしはしません。現在スマホを持っている若者は40億人以上もいて、世界と交流し、国が情報を統制した時代は終わろうとしています。また福島原発の事故をきっかけに原発依存を止め、自然エネルギーに転換する国が増えています。電力会社は、利権を手放したくないので抵抗するでしょうが、自然エネルギーが「環境面でもコスト面」でも世界の主流になっています。私たちはこの歴史の瞬間に立会い、世界史の中で初めて人間的な文明に出会うことになるのです。
『貧しい人々に捧げた二人の日本人』
アフガニスタンの人道支援に生涯を捧げた中村哲さん。難民の命を救うため世界を駆け巡った緒方貞子さん。このお二人の死を、日本国民だけでなく世界の人々が悲しみ深い哀悼を捧げています。中村哲さんは、ペシャワールで医療支援に参加し、貧困に苦しむ人々を救うのは医療だけでなく貧困の元を絶つ事だと気づき、1,600本の井戸を掘り、乾燥した大地を緑の大地に変えるなど献身的に尽くし、アフガンの国家勲章を授与された人です。緒方貞子さんは、「世界は繫がっている。大切なのは苦しむ人々を見捨てないことだ」と小さな体で世界を駆け巡り難民の救援に手を差し伸べ続けました。私たちは、この偉大な日本人の無私の生き様を決して忘れてはならないと思います。
『社員は社長の後ろ姿です』
社長に人生があるように、社員にも人生があります。社長に預けた人生があるが、預かったという自覚が最初からない社長もいます。会社を訪問して感じるのは、その会社が、良い会社かどうかは社員の態度でわかります。会社の窓口は社長ではなく、お客様と日々接している社員です。社長が、楽しく豊かな人生を送りたいように、社員も明るくて楽しく働ける職場を念願しており、その会社に安心して暮らしていける人生を託しているのです。ですから、社長が業績だけを自慢したり、売上げや利益にしか関心がない社長の下では社員は働く意欲もなくなります。社員は社長の夢や野望に賛成し、その実現に協力する唯一のパートナーです。血を分けた肉親ではないが親兄弟と変わりのない者です。社員への愛情を持てない社長が、どんなに社員教育を説いてもムダです。敗戦後の日本再建に尽力した松下幸之助さんや、京セラという国際的な企業を育てた稲盛和夫さんには、社長の夢を実現するために一丸となり、賢明に働いた社員たちがいました。
少女の願い社員 岡田嘉奈子
台風19号の被災地では、被害が甚大で広範囲に渡るため、未だ壊れた手付かずの家屋が数多く残り、復旧にはまだまだ時間がかかるようです。海水温の上昇で台風の勢力は、年々猛威を振るい進路も複雑になっています。100年に一度の豪雨が年に何度も降る状態に地球温暖化による気候変動を認めざるを得ない状況です。
2019今年の顔に選ばれた16歳の少女グレタ・トゥーンベリーさんは環境サミットでのスピーチで、お金と経済発展ばかりに目を向け気候変動の対策に本気で取り組まない大人たちに怒りをあらわにしました。日本は二酸化炭素排出国世界第5位です。エネルギー生産の九割を化石燃料に頼り、世界的に廃止の動きにある火力発電所の新設計画をするなど環境問題に消極的です。一方でリサイクルのシステムなど日本の技術力が海外で採用されている例もあります。温暖化問題は原因と結果の間に時間があります。今現在与えている環境負荷は、将来の世代に引き継がれ、結果的に若者の夢や希望を奪うことになります。私たちも地球の住人として、大人として本気で取り組まなくてはなりません。身近なところから心がけたいものです。