2020年04月 

『確定申告を終えて』
確定申告が終わると桜が咲き始め春も本番を迎えます。今年は、新型コロナウイルスが広がる中で迎えた確定申告でしたが、私たちの事務所から、所得税だけで1,000件を超える方々の確定申告書の提出のお手伝いをさせて頂きました。新型コロナウイルスは、南極大陸を除く世界50ヵ国に広がり国民生活や経済に甚大な影響を与えています。まず世界的に観光業が大打撃を受け、輸送もレジャー、イベント、宿泊も休業や廃業に追い込まれています。アメリカや日本などの先進国は、中国の低賃金を狙って、過大な投資や企業進出を図ってきましたが、今回のウイルス感染で中国経済が停止したため、部品や材料が揃わず製造が止まったという事実があらゆる地域で起きています。特に製造業では、コンピューターと通信機器の依存度が高く、日本でも生産拠点を中国依存から自国に戻そうという声も出始めています。また政府の方針で学校が休校となり「卒業式や入学式」も中止され給食も停止されたため、共働きの保護者や給食材料を納めていた農家や業者は深刻な打撃となっています。一日も早くコロナウイルスが収束し、国民の暮らしが再建されることを願っています。
『2025年問題』
経営者の高齢化による後継者難が深刻化し、中小企業の存続に影を落としています。70歳を超える中小企業の経営者は2025年までに約245万人に上り「大廃業時代」を迎えます。中小企業は、企業数で日本の9割以上従業員の約7割を占め、地域経済を支える重要な存在です。中小企業の廃業は、優秀な技術やノウハウ及び販路が失われるだけでなく、650万人が雇用を失う可能性があります。東京商工リサーチによると、2019年に倒産以外で休業や廃業した企業は、全国で43,000余りもあり、その内約6割が黒字企業でした。後継者が見つかれば事業を継続できる可能性があったのです。事業承継は、社長が行う「最後にして最大の仕事」だといわれます。社長一人の在任期間は平均約30年だといわれており、一つの会社を100年存続させるには、3人ないし4人社長が必要となります。企業存続は、社長の大切な仕事だと肝に銘じてください。
『国の経営と企業の経営』
国家も企業も判断を誤ると破綻します。しかし、どちらも不合理な判断をする事があります。先の大戦では、明らかに勝てない戦争を始め、戦争を止めるタイミングを誤り、広島・長崎に原爆が投下され、東京を焼夷弾で焼け野が原にされました。企業がこんな選択をすれば必ず倒産し、従業員を路頭に迷わせることになります。企業は、赤字決算が続けば銀行は金を貸さなくなります。朝が来て夜が来る。花は咲いて、やがて枯れる。ところが実際の経営に法則はありません。そんなものが有れば、大学の先生や学者に経営を任せた方が良いのです。
しかし、人間は感情の動物です。「あんな社長に付いて行けるか」と思うような従業員が増えれば経営は傾きます。経営とは結局は「人を動かす」ことです。問題は、社長や幹部の存在が、社員に信頼されることです。その為に、一番大切なことは、日常生活が「言行一致」であること、そして人に対する思いやりの心を失わぬ事です。
『国民の暮らしと経済』
世界中で貧富の格差が最も大きい国はアメリカです。1%の人がアメリカの所得の20%以上を占めているといわれます。資本主義は強い者が勝ち、強い者が多く取れる社会ですから、ある程度やむを得ません。しかし、一つの国家のあり方としてそれが良いかどうかは別問題です。戦後の一時期、日本は「ジャパニーズ・ナンバーワン」といわれました。敗戦の廃墟の中から立ち上がり、世界第二の経済大国に駆け上がったのです。
当時の日本社会は「総中流社会」といわれ、世界中が注目していました。国の経済は60%以上が国民の消費で成り立っています。従って、「貧富の格差」が余りにも広がり、国民の多くが貧しくて物が買えないと、国の経済も衰退します。国民の多くが百円ショップにしか行かなくなれば、商店の売上げは落ち、多くの小売店は潰れます。資本主義初期の頃、アメリカのフォード社が、従業員の給与を二倍に引き上げました。フォード社の社長は、「従業員が自動車を持てるようにしたい」と決断したといわれます。これがアメリカの資本主義を支えたのです。